平素はNPO法人北海道医療連携ネットワーク協議会の活動にご理解とご協力いただき有難うございます。今回は、1) ASCVD予防推進プログラム参加医療機関の増加、2)「あんしんお薬手帳」活用の意義を示すエビデンス、3) ASCVD予防推進プログラム講演会開催結果、4) アプリ版あんしんお薬手帳の準備の進捗、についてお知らせします。
1.「あんしんお薬手帳」を活用したASCVD予防推進プログラム参加医療機関
前回のNewsletter発行以後に3施設がASCVD予防推進プログラムに参加していいただき現時点で全道20医療機関(図1・施設名は表1)にご参加いただき合計で約500冊の「あんしんお薬手帳」をお届けしました。既に参加の医療機関の皆様におかれましては近隣あるいは関連の医療機関に本プログラムへの参加をお声がけいただければ幸いです。
本プログラムは、医療機関の他、道内の複数の健診施設にもご紹介したほか、職場健康診断の結果を実際に予防や疾病治療に生かすために「あんしんお薬手帳」を事業所として利用するプロジェクトも準備中となっています。
「あんしんお薬手帳」使用開始から3か月あまり経過をしましたので、調査への同意が得られた患者様のデータ回収を始めております。その結果につきましては、次回のnewsletterでもお知らせの予定です。また、既にデータ提出をお済みの機関の方へ謝金お支払いに関するご案内を別途、事務局より発送致しております。
なお、ASCVD予防推進プログラムと「あんしんお薬手帳」についての紹介記事を北海道薬剤師会誌8月号に掲載していただくことができました。道内の多くの薬剤師の方々にこのプログラムについて知っていただけたと思います。
2.動脈硬化危険因子の管理向上に薬剤師・看護師の関与が重要であることを示すエビデンス
本プログラムでは、動脈硬化性疾患の発症や進展を防ぐために医療連携の強化を目指しています。そうした連携が、実際に血圧など危険因子の管理を向上させるのかといった疑問に対して、これまで多くの研究がなされてきました。それらのなかで検討された介入方法は様々ですが、看護師や薬剤師との連携が動脈硬化危険因子の管理改善に有効であることを示す研究結果が複数報告されています。
図2は高血圧管理に看護師・薬剤師が関与することの効果を検討した研究のメタ解析で、医療チームとしての介入により収縮期血圧が6~9 mmHg、拡張期血圧も4~5 mmHg低下したことを示したものです。
高血圧の降圧目標達成率を指標として医療チームの介入効果を検討した研究も数多くあり、そのメタ解析では高血圧管理目標の達成率が約12%向上することが示されています(図3)。しかも、看護師や薬剤師が処方の変更に関与できた場合により優れた目標達成が得られていたと報告されています。
こうした多職種の協働が血糖や血清脂質の管理を改善する効果についても検討がなされていますが、特に、医療に関するリテラシーが不十分な患者により大きな効果があることが示されています。一方、個々の患者が必要としている知識を与え、問題解決方法をコーチすることを一人の医療者でこなすのは難しく、複数の医療者が関わることが必要であるのが現実と思います。現在蓄積されているエビデンスを実際に生かすためには動脈硬化管理目標値を医療者が共有することが前提になります。
3.ASCVD予防推進プログラム講演会のご報告
本プログラムの一環として、8月31日に札幌国際ビルで講演会を開催致しました。
講演1では、みきファミリークリニック三木敏嗣先生に「さっぽろ北部地域の生活習慣病に対する予防の周知とその後の対応について」、講演2では八尾市立病院事務局次長(薬剤師・医療情報技師・診療情報管理士)に「八尾市立病院における地域連携システムの現状と課題」と題してご講演いただきました。ICTを活用した医療連携、病診薬連携の現状と今後への展望について学ぶことのできた貴重な講演会で、質疑応答も活発な有意義な会でした。現在、録画を編集中で本プログラム参加の方々にはご覧いただけけるように準備しております。
4.アプリ版あんしんお薬手帳の準備状況について
8月にアプリ版あんしんお薬手帳の基本構成を決定し、MySOSあんしんノートへ「あんしんお薬手帳」のコンテンツのうち危険因子、管理目標値、管理目標達成状況に関するものを追加する作業を実施しております。処方箋情報については、電子お薬手帳との併用や処方箋の画像情報管理を併用の方針としました。次回のnewsletterで最終版についてお知らせできる見込みです。なお、アプリ版あんしんお薬手帳が完成後も、アナログ版の「あんしんお薬手帳」をご希望の患者様にはそちらを継続してお使いいただけるよう手帳の部数を確保致します。
5.事務局からのお知らせ
本協議会へご入会いただきますと、会員に交付されるIDとパスワードを用いて、ネットワークシステムのご利用を開始いただけます。ぜひ医療情報連携ネットワークを医療・介護の分野でご活用ください。ご希望の方は本協議会ホームページよりダウンロードした入会申込書にご記入のうえ、事務局までメール、FAX、郵送にて送信してください。後日、正式に入会決定の通知をさせていただきます。
(※詳細はHP https://hcp-meeting.jp/admission をご参照ください)